改善はします。人相は変えません。 [メイキング - ワークスタイル]
作品に蝶が登場する場面を、よく設けています。
蝶の司キャプテン・キュンメルや、いもむしラゼンパというキャラクターの出番を描くために、蝶たちが欠かせないことになっているからです。
蝶たちの3Dデータの改良をしました。
外見を大きく変えることは避けて、関節の構造やパーツの編成など、Blender上での作業効率の向上を主とした改良です。
特に脚の関節については、少し前まではBlender解説書の初級者編に載っているような方法をそのまま残していたのですが、今回の作業で、すでに人間の手の指では常に使っている仕組みを採り入れました。
作業を始める前、外見を変えようかと考えたことはありました。
蝶たちの羽の色柄は、頂点ペイントと言う方法で描いています。ポリゴンの頂点にマウスでクリックして色をつけていくもので、きめの細かい模様を描くには無理がありますが、初心者でもできる手軽な方法です。
これをUVマッピングに変えようかと思っていました。ポリゴンの面に画像をはり付ける方法ですから、実在の蝶のような複雑な模様を再現することができます。
それでも、なぜそれを採り入れないことにしたのかというと、蝶たちの羽は、人の顔のようなものだと思ったからです。
作業の数や量を減らす、メモリーのサイズを減らすという改善はしてもいいのですが、登場キャラクターの顔だちというものは、作品の第一印象を左右するものだし、作品や作り手の方向性を表すものです。
安易に変えたら、作品の印象も変わってしまう。背景の書き割りや小道具とは、事情が違います。
基本方針や理念を直感的に表すためのものならば、変えてはならないものです。
もしも変えなければならないとすれば、今のままでは役に立たないということなのか、真剣に見直してからです。
頂点ペイントで描いた模様は、今すぐ書き変えたいと思うほど見苦しいわけではない。
つまり、今まで使ってきて愛着があるということです。
合理化のために人相を変えるのではなく、今の人相をより効率よく描くために、作業内容の見直しをするのが、あるべき改善だと思いました。
変える点、守るもの、いろいろ考えながらの作品準備です。
面倒ですが、何も考えずに手だけ動かせば作品ができるわけじゃないんですから、必要なことは判断しながらなんです。