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クイック・クラブ [ストーリー - キャラクター]

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 その幻の生物を、知る者は少ない。

 "Quick crab"でググった者は、「手早く作れるカニ料理」のレシピを多数見出すであろう。
 だがそれは、かの生き物達の核心に迫ることを意味してはいない。

 クイック・クラブと呼ばれた生き物は、はるかなる太古より、人類の生活の場の、わりと近いあたりをうろちょろしていた。
 時には人間がクイック・クラブをとって来て、晩のおかずにすることもあった。

 ところがクイック・クラブは、その顔つきに似合わず、知恵が働く生き物だった。人間に食べられないように、巧妙に身を隠したのである。
 人類は、かれらの姿を目にすることがなくなった。さらに時が流れ、人類は、かれらの存在そのものを忘れていった。

 いつしか人々はクイック・クラブという生物の姿を忘れ、クイック・クラブというのは「手軽に作れるカニ料理」の意味へと入れ替わっていったのだ。
 クイック・クラブは、知恵が働く生き物だった。ひょっとすると、人間界に情報操作をしてたりするかもしれない…。


*** *** ***

 長いしっぽと、ひれのような10本の足で、泳いだり飛びはねたりします。
 アリスのニセウミガメのような流れから、ひらめいたフィクションです。



 ついでなんですけれど、クイック・クラブが登場するイラストをPixivに投稿しました。

作品「Casual meeting 2」

おひまがありましたら、見ていただけるとうれしいです。


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