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気づかないふたりの制作記 おまけ [パーソナル ノート]

 …あるところに学園都市がありました。よくある学園都市とは、違うところがありました。商店や交通機関、その他、都市のあらゆる公共施設が全て、学生が運営するサークルだったのです。
 そこへ新入生として登場した主人公くん。登校しようと寮を出ます。学校へ向かう電車に乗ったら、運転士も車掌も女子高生でした…

 だいぶ前に考えた学園もの漫画のアイデアです。この漫画自体は仕上げるまでに至らなかったのですが、最近思い出したものですから、いま活動中の「ゼフィーベの空に風翔けて」に取り入れる形で、運転士と車掌には復活してもらいました。

Tramway_girls_20161011.jpg

 普通の世の中で暮らして、人間の相手はするけれども、羽があって空を飛ぶ人は見たことが無いし、その他ファンタジーの世界の住民には出会うことが無い。そんな「気づかない人」を作品世界に導入しようと考えたのは、昨2016年の春ごろでした。
 決まっていたのは「気づかない」という部分だけで、かれらの職業・外見・年齢・性別・人数については様々な案を比較検討していました。
 支配階級、秘密結社、警察官、あるいは何らかの貧しく無学な集団…アイデアの数はあったけれども、既成のドラマにも出てきたような陳腐な案が、ずいぶんありました。
 夏ごろはまだ、この段階の絞り込みができていなかったので「気づかない人」のシナリオを作ることはあきらめて、かわりに不人気を承知で持ち出したファレンカム=サークが登場する『空に迷う少女と黄昏の車輪使い』を執筆したのでした。
 車輪使いというモチーフから汽車を連想したのか、この頃、だいぶ前の学園都市ものの案を思い出しました。

 当初の案の、運転士も車掌も女子高生だった…とは、何とも安っぽいネタですけれど、これも漫画を面白くしようという対策ではありました。

 学生時代に何度か聞かされた言葉があります。
 学園の主役は、お前ら学生なんかじゃない。卒業までのほんのわずかの間ここに通ってくるだけのお前たちが学校の中心だなんて、誰も思ってないんだからな。

 そこで思ったのですが、じゃあ学生が主役になる学園ものってどんなものだろう…と考えついたのが、町じゅうを学生サークルが運営する学園都市、というものでした。
 当時は「気づかない人」とは無関係に考え出していたものでしたけれど、現在のアイデアと組み合わせてみれば、ほかの候補よりは新鮮だと思うので、トラムカンパニーの二人として仕上げたことは良かったと思っています。

 もう一つ、重要なことも決めました。二人は一般の人間以外の存在には気づかないだけであって、憎んではいないし怒りも見せない、ということです。
 ここが誰の縄張りなのか、誰が正当なメンバーで誰がよそ者なのか、そういうことを主張するのではなく、もっと読んで楽しくなるシナリオにしてみよう。その考え方も、二人の性格作りに役立ちました。
 今のご時世、あいつが敵だ、こいつを追い出せという類の主張をして分断線を築くと、高い支持率が集まるのかもしれませんけれど。
 まあ、売れっ子のまね事はやめておくことにします。

 現在は、来月開催のコミティア119に間に合うように新作漫画の制作を進めています。
 苦労して考え出したトラムカンパニーの二人も、登場する予定です。



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