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細いオールで遠回りした頃 [メイキング - Blender]

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 5月に公開した漫画『空飛ぶ舟の風変わりな送迎記録』の一場面で、主役の操縦士ミルコーロ・ゼンプテが、大した意味もなくオールのようなものを構えているコマがあります。


 この種の出来損ない小道具は、Blenderで数知れず作ってきました。
 ミルコーロが乗り物の使い手だということを決めてから、どんな乗り物を愛用しているのか決定するまで、ずいぶん迷っていたものです。
 その過程でこのオールのように、乗り物の失敗作のかけら、とでも言うような物をたくさん作って、今もミルコーロにごく近いフォルダーに記録してあるというわけです。


 失敗作を重ねていた時期があったし、今も一つの作品を仕上げる工程は何倍もの候補を比較検討する、候補の大半を不採用にする、つまらない部分があるものです。
 でも思い返せば、このオールを作成していた頃は特にひどいものでした。早く完成させたいと焦るあまり、なぜオールを手にした様子がしっくりこないのか、いくら画面を見ていても分からなくなっていたんです。
 当時、オールを細くし過ぎていたのでした。鉛筆のように細いのに異様に長い小道具を両手で握るから、指に力が入っているように見えない。私自身の焦りや疲れのせいで、画面がなぜ不自然なのか気づかなくて、もしかしてキャラクターの手の構造に欠陥があるのか、などと思ったりしたものでした。
 オールの寸法を直せば済む話だったのに、余裕を無くすとかえって遠回りを選んでしまうようです。


 小道具に合わせて手や指を作り直すのでは、苦労が増えるばかりでナンセンスですよね。
 戸口の高さに合わせてひとの背丈を切り詰めるわけが無いんだし、持ち主の手に合わせて道具をあつらえるのが、まともな発想というものです。


 ダサい小道具や乗り物ばかりかも知れませんけれど、私としては苦労の末に考え出したものなんです。



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