ふしぎの、まとも ―遍歴の科学者 カーロ [パーソナル ノート]
エルンスト・カーロの遍歴は、故郷の教育制度の一課程。
修行の旅をする期間が終わると故郷に帰って、修了試験を受けることになっている。
一人旅で苦労しているはずだけれど、迷子のリンナミーシャとちがって、自分の住む場所から、切り離されてはいない。
本人いわく、故郷でも屈指の名家の生まれ。
名家だから、毎日食べ物があって、小さいころから読み書きを教わってきた、とのこと。
リンナミーシャはこの話題についてはコメントしていない。
修行中の科学者なので、広い見聞をこころがける。
機械設備の修理から、乗り物の操縦、畑の肥料の調合、引き受ける依頼は、いろいろ。
報酬は、額が多ければもちろんうれしいけれど、依頼が片付くまでの何日か、まかないつきで寝泊りさせてもらえる、という類も大歓迎。
けれども、見境なく請け負うのではなくて、人間が服用する薬や医療行為の依頼は、専門ではないので断っている。
活動範囲を広くとって、いろんな相手と、上手に付き合える。
けれども、活動方針がしっかり決めてあって、誰かの顔色をうかがったり、召し使いのように卑屈になることもない。
明るくニヒル。というとふしぎだけれど、常識のあるまともな人、ということもできる。
つきまとって暑苦しい癒着をするのでもなく、冷たく敵視するのでもない、適切な間合いがあるということ。
リンナミーシャにとってのカーロは、星の王子様に対する、きつね君のようなひと。
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主人公のそばには、事件や困難を解決する、実際的な能力の持ち主がいるといい。
それでカーロは科学者(の見習い)と決めた。
計画当初は、ステレオタイプの知識人イメージで、気難しくて人付き合いの下手なキャラクターにしようと考えていた。
つけくわえれば、当初は名前を、イカロスとつけようと思っていた。
現行の明るいカーロとは、まったく似ていなかった。
けれども、それでは物語が作りづらいと、気がついた。
たしかに、女の子に終始つきまとうような男だって、描写していて気分が悪い。
けれども、ヒロインが事件と向かい合うときに、無関心で手助けにも来ないような男では、物語上、役に立たない。
そんな奴がいても、シナリオ作成の負担は増えるし、楽しくなさそう。
一度や二度、どぎつい特別出演をするのではなく、主役にして役に立つ人。
話を引っかき回すのではなく、解決する素質の持ち主。
それで今回、明るくニヒル、というフレーズにたどりついた。。
イカロスという名前も、いつのまにか縮まって、カーロという苗字になった。
2012-06-10 18:25
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