舞台で浮かぶ語り部
空の語り部リンナミーシャ(Narrative Official Linnah-Miescha)
空の郷で生まれ育った、ごく普通の女の子。
黒い髪とコンドルの羽。風に乗ることが好きな女の子。
ある日、空の郷への帰り道が分からなくなって、見たことも無い国へ迷い込んでしまう。
そこは不思議なことに、羽の無い人々が住む、地上の国だった…
『ゼフィーベの空に風翔けて』の主人公として考え出した女の子です。
あまり出番が多くないのは、ほかの人物の方がBlender上で動かすのも、GIMPで仕上げるのも難易度が低いからです。
画面に変化をつけ、作品を迅速に仕上げるために、情けないかもしれませんが、主人公の出番をなかなか増やせずにいます。
この前の2月に書いた漫画『教室のむこうの秘密』で、彼女の故郷を話題にする場面があります。話すだけで故郷自体が出てこなかったのは、同郷の住人を描くことを避けたからです。
今のリンナミーシャと、同じ仕組みの翼を持つキャラクターを作成しては、作品制作の効率が悪くなりすぎると思いました。
それでも、リンナミーシャの出番を作るようにはこころがけています。
なかなか主役にできないけれど、仕組みがややこしい3Dキャラクターなので、動かしていないと使い方を忘れてしまうからです。
翼の外見と動き方を改善しました。
地味で分かりにくい話ばかりなので、説明は省かせていただきます。
退屈な説明をするよりも、頒布・展示作品自体でリンナミーシャの出番を充分作って、自然で変化にとんだ身振りをお見せできるように努力して、作品の形で示すことにします。
作品を仕上げるたびに、登場させたキャラクターや舞台装置の改善すべき点を見直して、必要な処置をする。
毎度のPDCAサイクルです。仕事の後には、いつも改善ってことです。
シナリオ作りの前に済ませておきたいBlender上での改善作業は、これで済んだと思います。
今回も沢山の改善策を検討したけれど、たぶん今回は、これで充分だと思います。
楽になるわけではありません。
これから5月のイベント参加のために、新作の内容を決めて、舞台装置などを作成する作業です。
どんな出来事があって、リンナミーシャ達がどんなことを思って、どんな行動をとるのか、考えてゆく作業があります。
最近記事に載せているような、キャラクター単位ではがきサイズに収めた画像も、展示や頒布に使えるように、もう少し作っておきます。
それに、作品の持ち込み先だって調べて選ばなければ、いつまでたっても仕事の段階へはたどり着けません。まだまだ、しなければならないことが待ち構えています。
もしも売り込みに成功して、仕事を請け負うことになっても、別にリンナミーシャが主役になる漫画を書くことにはならないかもしれません。多分ならないでしょう。
それでも、動かし方が複雑なキャラクターを使い続けることが経験になるはずです。
どんなキャラクターを作れと言われても、きっと応用が利くことでしょう。
PDCAサイクルです。前回のCheck、Actionが住んだら、次のPlanの始まりです。
いにしえの車輪使い
車輪使い ファレンカム=サーク(Wheelster Farrenkham-Cirke)
雌雄一対の車輪を操り、この世の事象が、摂理の道を運ぶことを、見守り支える者。
はるか昔、神々を名乗る支配者たちが世界に君臨した時代、かれらの命によって人間が住む地へ送り込まれた者の一人。
人間が忠実なる信徒たるように、監視する任を受けた者の一人だった。
ある時彼は人間に、車輪を使う知恵を授けた。
野心からではなく、奇異な趣向でもなかった。人間が課役を確実に果たせば、支配する神々の利益でもあるはず。動機はそれ以上ではなかった。
しかし、その行いが、人間が反乱を起こす恐れとなるとして非難され、彼は神々の都から追放された。
時が流れ、かつての古き支配者たちは忘れ去られ、人間は自らの知恵で生きのびて発展を遂げた。
今の彼は、神々が更なる懲罰を下す口実を見つけないように、表向きは人間とは深く関わらず、隠遁者然として身を潜めている。
*** *** ***
2016年、漫画『空に迷う少女と黄昏の車輪使い』で公開したキャラクターです。
けれど、Blenderで手足の関節を再現したキャラクターとしては、最初にデザインした者の一人です。
最近の手入れの一環で、ほかのキャラクター同様に3Dデータの改良をしました。
顔の部分だけポリゴン数を増やして、表情を作成しやすくしました。
手首の構造を改善して、関節の自由度を向上させました。身振りの表現に役立つと思います。
車輪を使う場面で、その周りに光る軌跡が出現するという描写をしたことがありました。当時は即興で車輪の周りに作成・配置していましたが、ひな型になる明るい色のパーツを、マスターファイルに常備することにしました。
つまり、武器のレパートリーなどは増やしてなくて、表情や行動を描きやすくするための改善です。
ヒーローロボ系のデザインは時代遅れかもしれません。
Blenderを使い始めて最初に作成したのに、公表は人間や動物などのキャラクターたちよりもずっと後だった、というのも、それまで作品上の使い道を考えつかなかったからです。
ロボットなら、造形や絵にする時に楽だ…というほどではありません。
でも、人間のヒロインの顔を充分に仕上げる方が、ずっと大変です。
そんな苦労と比べれば、ロボのほうがまだマシ、というところです。
だから、ロボットのおもちゃは比較的安くて、私が子供時代のお小遣いで親しむことができたのかもしれません。
でも、ファレンカム=サークも、その他のロボットがモデルのキャラクター達も、好きだから作成したものです。
作品で活かせるか、それとも読者の皆さんが白けてしまうのか、私の努力次第でしょう。
3Dデータとしては使いやすく仕上げたんですから、何か作品上の出番を作れるようにがんばってみます。
ふわふわミルコーロは今日も飛ぶ
ふわふわ操縦士ミルコーロ・ゼンプテ(Milcollo Sempfte, the fluffy little pilot)
奇妙な肩書ですが、…よそのキャラクター名や作品タイトルなどと重なってしまうよりは良いと考えています…。
2013年に公開したキャラクターです。
最近の漫画でもたびたび出番を設けています。出番を作りやすいように創作した子だからです。
数年前、ブログに文章主体のストーリーを投稿することを、何度か繰り返した頃、シナリオに変化をつけるためには、作品に何を追加すればいいだろうかと検討しました。
一つ目の案が、ファスト・クラウド(Fastcrowd)と名付けたファイルです。即席わき役をBlenderで作成した時に、保存するためのファイルでした。
もう一つの案が、どの主役キャラクターに対しても、妹分として振る舞える存在でした。そのコンセプトで性格付けをしたのがミルコーロです。空飛ぶ舟・ルフトカーンを操縦するという設定も、空の語り部リンナミーシャと行動を共にするためでした。
ファスト・クラウドは思ったほど活用しなくて、今は動物がモデルのゆるキャラなど、人間のキャラクターとは構造が異なるタイプを保存しています。
ミルコーロは先月制作した漫画『教室のむこうの秘密』でも主役として、リンナミーシャとともに登場していました。
漫画を制作するためにBlender上で動かしていて、気が付いた箇所に改善を施しました。
見た目で分かる箇所だけ一例を挙げてみると、たとえば空飛ぶ舟・ルフトカーンの操縦用の手綱の、取り付け方を少し変えてみました。ミルコーロのひざやスカートに当たってしまうことが少なくなるのではないかと思います。
ミルコーロはエンジニアでもあるので、愛用の乗り物へのチューニングは普段からこなしているんです。手綱の仕様も、その一環で手を加えたんだ…ということにしましょう。
ミルコーロの衣装にはセーラー服とブルゾンを用意してありますが、『教室のむこうの秘密』ではセーラー服だけ使いました。執筆準備で手間取ったので、ページ数を少なく抑えた結果、シナリオに衣装替えが自然に入る場所が無くなりました。
3Dデータをせっかく作成したのに、要領が悪くて使う機会を逃してしまった…というのも面白くない話です。
次回、5月のイベント出展では、もっと多彩な場面を描きたいから、今から準備をがんばります。早く作品の準備を進めなければ。
5月12日開催のコミティア128に、参加申し込みをしました。
今度こそ出張マンガ編集部に、自信作といえる質と量の作品を持って行きたい。
5月18日には、デザインフェスタvol.49への出展です。
せっかく抽選を通過できたんだから、こんな機会を棒に振るわけにはいかない。
そして、自分のハードルを低くしてはいけない。
イベント当日に、ちゃんと作品を宣伝する話し方ができるように努力します。
ここ最近は、出展ギリギリに作品を仕上げて、当日は疲れ切って口をきく気分にもならない、ということが続いているからです。
少し前は、開催当日に愛想よくできた時もありましたけれど、その頃は、絵はがき数枚とか、本文数ページ程度の同人誌とか、作品の規模を小さくしたことが多かったように記憶しています。
別に当時、手抜きをしていたわけではなくて、その頃の作品づくりの効率で精一杯のことはしていたんですけれど…。
作品と、当日の売込みの両立。まだ達成できていない関門です。
出展で隣り合ったブースの人たちが、面白そうな作品を持ってきていて、なおかつ疲れも見せずに楽しそうに振る舞うのを見て、うらやましくなったことが何度もあります。
作品が売れているのもうらやましいけれど、出展の仲間同士や、ブースに来たお客さんやフォロワーと、楽しそうに話している姿がまぶしかった。
確かにイベントには、私が挨拶しても返事もしない出展者はいます。すぐ近くのブースだから名刺を渡したのに、まるで汚いものでもつまむようにこわごわ受け取って、一言も口をきかない人だっていました。
そんなのと同じ穴のムジナになってはいけない。
それに、作品制作の時間を確保しながら、その他の不愉快な物事に対しても、適切に対処しなければなりません。
自分の得意分野と無関係だけど避けて通れない、そういうトラブルは必ず現れるものなんです。
自分が受ける被害を無視して何もしないのではいけないし、逆に怒りや悔しさで頭がいっぱいになって、ほかの何事もできないような有様でもいけないんです。
作品だけに熱中していいはずがなくて、苦しいことは常に何かしらあるのでしょう。
仕事として通用する作品を発表できるようになっても、お金のからむ相手からは、きっと激しい抵抗があるでしょう。
作品上、どんな場面にも登場できるように制作したのが、ミルコーロです。
そして私自身も、どんな立場に立たされても、くじけず進めるようにならなくては。
赤毛の貿易商 シャウラ・ディーミ
赤毛の貿易商、シャウラ・ディーミ(Shaula Dhimi, a red haired trader)
イベント参加・ネット投稿で作品公開を始めた当初から登場している女の子です。
呼び名の中の、赤毛を指す語のアルファベット表記には、はじめはgingerを使っていましたが、香辛料専門の商人ではないのに、まぎらわしいので、redと表記してみることにします。
Blender上での髪の動きをより自然にして、衣服や靴のディテールを改善…していたのですが、この投稿のために画像を作成してみると、あまり目立たない点ばかりです。分かりにくいので細かい説明はやめておきます。とにかく、細かな下準備の積み重ねです。
こうして3Dデータの手入れをしながら、以前読んでいた本を色々と思い出しています。今の作品制作に反映していることが色々あります。
『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら』の中で、チームメートなどの登場人物をしばしば、ポジション+フルネームで表記していたのが、読みやすくてうれしかったので、私も見習うことにしました。
登場人物が何者なのか、読者になるべく早く覚えてもらうためには、本人の名前だけ載せるのではなく、肩書や形容をこまめに添えるのが役立つのではないか。
そう思って、シャウラという名前だけではなく、赤毛の貿易商シャウラ・ディーミと呼んでいます。
クラフト・エヴィング商會の作品を読んで、不思議なアンティークを見つける話、あるいは誰かが売りに来る話も、面白いな…と感心した時期がありました。
シナリオに変化をつけるために、毎回新しい敵役が登場するような、いわば今週の怪人/犯人という方法もあります。
ただ、マンネリ化を避けるために、敵の手口や暴力描写がエスカレートしかねないので、私としては使いたくない方法です。
先月私が公開した漫画『教室のむこうの秘密』は、制作開始前のアイデア検討がうまくいかなかったので、何とか軟着陸を目指した結果でした。
不愉快な目に遭った時、不利な立場に立たされた時、意見を主張する手段は何か、悩む時があります。
手段を思いついても、現実には役に立たないという時もあります。
対立する相手をモデルに醜悪なキャラクターを作って、作品で惨めな役をやらせる。すぐ思いつくけれど、これは無駄です。
ジャーナリストが社会問題を告発するために記事を書くのとは違います。娯楽用にそんなものを作っても、誰にも伝わりません。
作品に愚痴を織り込んでも役に立たない。
推理小説を書く時に、犯人のモデルに身近な友人を使うような、身内のじゃれ合いのように見えるものでは、意味がない。
だから不満も、トラブルも、怒りも、作品へこめてはならないと、自分に言い聞かせます。
自分に言い聞かせないと忘れてしまうから、こんな文章を自分で書いているんです。実践できているからなどではありません。
一方で、戦いの場面を使わない方法もあります。たとえば、毎回個性的なキーアイテムを登場させる、ひみつ道具方式です。
日常離れした異国の品に接触する機会のありそうなキャラクターは、きっと力になると思いました。
作品が悪い方向に流れないためにも、素晴らしい先輩方のアイデアを見習わなくては。
だから戦闘要員ではなく、赤毛のシャウラは貿易商なんです。
クラフト・エヴィング商會の著作にも、主役として貿易商が登場するものが多くありますが、シャウラを考え出す時、まね事にはならないように気をつけました。職業など部分的な共通点があるだけで、作品の人物としては全く別のものです。
今まで触れてきた沢山の作品があるおかげで、赤毛のシャウラをはじめ、私のキャラクター達のアイデアがあります。
シャウラの出番は近頃多くありませんが、登場の機会を確保したいので、がんばってもっと作品を作りたいと努力しています。
漫画を書く、作品を作ることは、気力体力を使う作業です。
少なくとも、仕事として通用するものを目指して、必死に制作するというのは、そういうものです。
だから、解決策の無い怒りに、エネルギーを使うわけにはいかないんです。
現実的な手段を見つけるまでは行動を起こせないし、その前にしなければならないことがある。
私が作り手として仕事を請け負うために、性格や技術を尊重される仕事で、充分な収入を受け取る立場へたどり着くために、努力しなければならない。
つまんないことにムカついてるヒマ人がラクガキしてる、などと決めつけられている場合ではないんです。
だから、この投稿を済ませたら、また少しがんばります。
苗売りノルンと ちいさなレルシーナ
苗売り娘ノルン・シュマートン(Norn Schmaton, the little local nurserysmith)と、
イースターエッグのレルシーナ(Relseena Easter Egg)。2017年に考案・公表したキャラクターふたりです。
小さな点ですが、Blender上のこの二人のデータに改善を施しました。
ノルンの帽子には白無地の帯状の部分がありました。
スカートや肩掛けの帯状部分にはカタバミの文様を入れているので、それに合わせて帽子にもカタバミ模様を入れました。
なぜ今まで帽子だけ無地だったのかというと、実は公表当時、模様を入れるのを忘れていただけなんです…。
キャラクターの関節の仕組みも少しずつ違いがあります。
衣装の形によって、自然に見えるようにどこをどう補うのか変わるからです。
ノルンも出番を作って、もっと作品上で使わないと、私がノウハウを忘れてしまう。がんばってアイデアを出さなくては。
レルシーナは、タマゴにお塩の卓上瓶を添えた格好の女の子。
以前は、パセリもあるといいかな…と思って、手をイタリアンパセリの形にしていました。
けれども、その後何度か作品に出番を設けてみたところ、手は別の形がいいだろうと気づきました。
木の葉や花びらの3DCGは、意外とカメラ写りが難しいものです。
アングルや位置関係に気をつけないと、単なる線に見えてしまって、何なのか分からなくなります。
それで、どんな角度から見ても立体的に見える形にしました。
たぶんレルシーナは手袋のようなものをはめていて、場面に応じて使い分けているんです。…ということにしましょう。
レルシーナの帽子にも文様を入れようかとも思いましたが、こちらは無地にしておきました。
模様を入れる代わりに、こっちにイタリアンパセリ型の飾りを着けてみました。
完璧な作業ではありませんけれど、衣装や小道具に時間を使いすぎてシナリオ作りがおろそかになっては、作り手失格ですから。
二人の身なりに関しては、ここまでにしておきます。
風邪をひいたようです。月曜日が暖かかったから油断して、火曜日もコートを着ないで過ごしたのが、まずかったのかもしれません。
貴重な自由時間を作品づくりに使わず、眠りこんで無駄にする日が続きました。
起きていても、イベントのために送付する画像などは構図のアイデアが浮かばなくて、3Dデータの手入れのように、慣れていて後からやり直しのきく件ばかりしていました。
つい昨日もそうでした。ほんの少しだけBlender上の作業をしただけで、気力がわかなくなって、その日の時間枠を単なる仮眠でつぶしました。
夢を見ました。部屋の窓から外を見ると、街並の空に数えきれないほどの蝶が飛んでいるのでした。
まだ蝶が姿を見せる季節ではないのに、なぜか夢の中でそんな景色を眺めていました。
いもむしラゼンパの仲間たちが、もっとがんばれ、とでも私に言おうとしたのでしょうか。
まだ風邪は全快ではないけれど、少しがんばることにします。